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事業告知
広域的災害ネットワークの構築 日本海国土軸形成が国土を強靭化する
第2章 日本海国土軸の現状と展望
防災首都「新潟」
 日本国土全体の中で日本海国土軸は、太平洋側のバックアップ機能や救援機能において、その地理的条件から多軸型国土構造の要となると考えられる。

 東日本大震災では、多くの企業の生産機能が停止し、拠点を移す等の、リスクを分散する動きがあったが、先述の通り「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」は現在日本の中枢ともいえる太平洋側の広い範囲を壊滅的な状況に追い込む可能性を持ってる。そのような事態において特に新潟は、救難の最重要拠点として太平洋側のバックアップの役割を担うことができる。新潟は、首都圏と関越自動車道路、上越新幹線でつながっており、新潟港、新潟東港といった日本海側で屈指の大規模な港湾や、2500mの滑走路を持つ新潟空港があり、一通りのインフラが整っている。新潟は、日本海側唯一の政令市として、日本海ベルト地帯ともいえる日本海側の都市群を牽引することになる可能性を秘めている。( 図13 )

太平洋側に偏った国土づくりの見直し
[ 図13 ] 新潟市の位置的優位性
新潟市「日本海政令市としての拠点性強化の推進」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/seisaku/sogo/jikisogo/
jikisogoan/bunyabetsukisoshiryo.files/kiso3-2.pdf

(参照2014年8月1日)をもとに作成
では、防災拠点として、新潟が寄与できる分野とは具体的にどのようなものが考えられるだろうか。
食料
 新潟市は、平成26年3月28日に開催された国家戦略特別区域諮問会議を経て農業分野における国家戦略特 別区域に選定された。
 新潟市は1市だけでも都道府県並みの、米の生産額などの農業に関する実力を持っている(図14)ことや、全国的 にも食の関連産業の集積が進んだ地域であることなどから、今回の農業特区選定につながった。
 新潟市は、農業の先進地域として、また、食の都として、将来にわたって日本の新しい食と農業の姿を示していくこ とになるのは間違いない。
 そして、太平洋側での大規模災害に際しては、農業先進地、食の産業の集積地といった、今回国家戦略特区に選 定された新潟の特性を生かし、救援食料の備蓄や、食料を被災地に輸送する際の後方基地というバックアップ機能 ができると期待出来る。

新潟市のポテンシャル
新潟市は全国トップクラスの大農業都市
耕地面積(田) 28,600ha 市町村別 全国1位(H24)
農業産出額 655億円 市町村別 全国1位(H18)
米産出額 371億円 市町村別 全国1位(H18)
認定農業者数 3,204人 市町村別 全国1位(H24)
食料自給率 63% 政令市中1位(H17)
[ 図14 ] 新潟市のポテンシャル(農業)

■主な農業生産物(※いずれも出荷量新潟県内1位)
水稲、だいこん、かぶ、ねぎ、すいか、枝豆、レタス、梨、もも、ぶどう、チューリップ
新潟市「新潟国家戦略特区 ニューフードバレー構想の実現に向けて」(http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/seisaku/kokkat
okku/tokku/tokku-kyogikai.files/newfoodvalley.pdf

(参照2014年8月1日)をもとに作成
エネルギー
 次に、新潟市は日本海側最大の港湾を持ち環日本海地域からの物流がある。そして首都東京とも近い位置関係にあり、エネルギー分野での救援拠点としての高いポテンシャルを秘めている。エネルギーの確保は、災害が起きた際には、水や食料の確保とともに何より必要になる重要事項である。
 現在、新潟東港には日本で2番目に大きい火力発電所がある他、対岸のロシアなどからLNG*2)を輸入できる基地があったりとエネルギー面でのバックアップ機能を果たすには十分なインフラが揃っている。事実、東日本大震災で仙台市ガス局のLNG基地が機能停止した際には、発災から12日後の3月23日、仙台パイプラインにより新潟から仙台へLNGの供給が再開され(図15)、36日後の4月16日には被害が大きい一部地域を除き復旧を完了(仙台市ガス局範囲)したという実績もある。
*2)LNG:液化天然ガスの略。発電燃料として使われている。

天然ガスパイプライン
予想(1ヶ月半)を超えたスピーディーな復旧は新潟からの天然ガスパイプラインが大きく貢献した
 今後、高い確率で発災すると想定されている首都直下地震などの有事には新潟がエネルギー面での救援拠点となる可能性が非常に大きい。
 新潟の防災首都*3)としてのポテンシャルは、有事の際だけではなく平時の経済活動においても大きな有利性を持つ。日本海国土軸の形成により地方都市間、特に新潟の港湾の能力を活かすことにより北陸地方での連携が発展し、例えるなら、日本海ベルトが形成される第一歩になると考えられる。
*3)防災首都:防災の分野で中心的な役割を果たす都市。

[ 図15 ] 仙台パイプラインによる供給
新潟市「東日本大震災と新潟(ロジスティクス)」
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/bosai/h230311/in
dex.files/logistics.pdf

参照(2014年8月1日)を引用
アンケート
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問2-5
日本海国土軸が形成されることにより、新潟市が防災において拠点になる可能性を秘めていることを認識できましたか。
問2-6
問2-5について「認識できなかった」を選択された方は、その理由をご記入ください。