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事業告知
広域的災害ネットワークの構築 日本海国土軸形成が国土を強靭化する
第2章 日本海国土軸の現状と展望
国土強靭化計画
京都大学大学院教授 藤井 聡 氏 インタビュー
藤井聡教授について
 安倍内閣で防災、減災ニューディールの担当として内閣官房参与を務め、事前防災を重視した国土強靭化計画を提唱する。耐震補強、津波を防ぐ堤防建設などの公共事業を含めた国家プロジェクト、防災、減災の大規模対策を進め、経済成長を見据えながら、日本列島全体を強くしなやかにすることを目指す。公共政策の専門家として、巨大地震に備え、首都圏への過度の一極集中から地方への分散を図る「都市機能の分散化」も提言している。

NetIBNEWS「2013年2月19日特別取材」
http://www.data-max.co.jp/2013/02/19/post_16449_ib_is_01.html
(参照2014年8月1日)より引用
・国土強靭化についての見識をお聞かせください。
 国土強靭化に関しては基本計画が策定されたばかりで、プロジェクト内容に関してはまだ議論の段階ではありますが、基本的な方針としては「自律分散協調型国土」を創り東京一極集中を緩和するということです。
 その要は、東京が壊滅的な破壊を受けその機能が著しく低下しても国家全体の活動を止めないようにすることで、一極集中でなく様々な都市機能を分散し、各都市が自律的に活動でき、且つその地域がそれぞれ協調できている、それが自律分散協調型という考え方です。
・日本海側には数多くのミッシングリンクが存在します。ミッシングリンクについての見識を教えてください。
 太平洋側のバックアップ機能を賄うのが日本海国土軸と考えると、日本海側全体の発展とは、国土強靭化すなわち自律分散協調型国土の発展と十分にいうことができます。日本海側全体の役割というのも大きくなってきます。北陸地方で連携を図りながら日本海側全体を盛り上げていこうとする場合、その時にミッシングリンクが放置されていると日本海側の発展自体が大きく阻害されることが考えられます。ミッシングリンクの解消は日本海側の発展の為にも重要な課題となってくると思います。これは道路もそうだと思いますし、新幹線でもいえることだと思います。
・日本海国土軸が形成されたときに、バックアップ機能として新潟が寄与できることはどのようなことがあるとお考えでしょうか。
 新潟東港の火力発電所やLNG基地など、現存の設備を考えても、エネルギー分野での寄与ということは大いに考えられます。
 やはり、エネルギーの危機というのは災害の際に真剣に危惧されている事ですので、ガス・電気などの日本海側のエネルギー備蓄の増強というものは急務だと思います。そしてエネルギーの供給力の増強において重要なのは、港とのセットです。ガスや石油の水揚げから発電、そこからのパイプラインが必要となってきます。首都直下地震の際には、新潟がエネルギーのバックアップ拠点を担うとことは間違いないと思います。
・新潟県内でいうと、長岡―上越間で新幹線が開通しておらずミッシングリンクとなっています。この区間の解消が及ぼす変化とはどのようなことが考えられるでしょうか。
 この区間が通ると日本海側の軸が1本通る事になりますから、飛躍的な発展に繋がると思います。利便性も向上し人口集積効果が非常に上がると思います。日本海側に一つの商圏、交流圏が出来上がり、これが大きな産業発展効果をもたらすと考えます。富山・金沢・新潟といった高いポテンシャルを持った都市群が繋がることにより、足し算では無く掛け算のごとく相乗効果で、日本海側における太平洋ベルトの第一歩、つまり日本海ベルトの第一歩になると思います。 また、自律分散協調型の国土を形成することになりますから、国土強靭化という点からもこの区間というのは極めて重要だと思います。
・新潟では、環日本海ゲートウェイ構想というものがあり、新潟が環日本海地域交流の窓口になるという見方があります。日本海国土軸形成により、環日本海地域との関係はどのようになるとお考えでしょうか。
 外交的には中国との関係が読めない所もありますが、日本海側での交流がトレンドとして徐々に大きくなってきていることは間違いありません。日本海側最大の港湾を持つ新潟の役割は大きくなっていくと思われます。先述したエネルギー拠点ということにも繋がってくると思います。
・地域発展のためのインフラ整備を考えたとき、民間と国との連携はどのようにしていくべきと考えますか。
 インフラ整備を考えた時、関係する民間企業にはそれぞれの考えがあると思いますので、やはりそこは国が一つの大きな役割を担っていかないとコーディネーションが難しくなるでしょう。地域の強靭化、国土の強靭化をコンセプトに、国が主導する必要があると思います。ただ、事業自体はチームワークで進めていくわけで、国が調整を図っていき、実務は民間企業が行う。お互い少しずつコーディネーションしていくことでWIN-WINの関係を図って全員がスパイラルアップしていくようにする。
 これがこれからの官民と地方自治体と国の在り方ではないかと思います。
・新潟市も国家戦略特区の一つに選ばれました。太平洋側のバックアップ拠点として、対岸への輸出入に関して、そのための港湾の活用などが考えられます。港湾整備についての見識をお聞かせください。
 新潟市は農業分野で国家戦略特区となりました。強靭化の中では、大震災直後の食料供給不全というものを重要プログラムの一つに挙げており、首都圏のバックアップというところで新潟は食糧の分野で一つの大きなポテンシャルを持っていると思います。
 港湾整備に関しましては、そこは正に、総合開発計画、総合発展計画になってくると思います。港湾を整備し貿易の利便性を上げる。すると工場の立地が進む。そしてその関係者がそこに居住する。その居住者の交流圏を広げるために新幹線を作る。するとさらに人が集まり、それをめがけたさらなる開発が起こる。このようにしてすべてがスパイラルアップしながら進めていくものだと思います。
・インタビューまとめ
 国土強靭化においては、やはり日本海側の発展が要になってくると考えています。新潟は日本海側唯一の政令指定都市で、地理的条件からも首都圏のバックアップ拠点として期待されており、日本海側の拠点であると考えられます。新潟の取り組んでいる「新潟国土強靭化計画」についても政府はバックアップしていきたいと考えています。国土強靭化に対して是非いろいろとご尽力いただきたいと、国土強靭化に携わっている私も思っております。
アンケート
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問2-4
「国土強靭化」において、日本海国土軸が担う役割はどのような点だと考えますか。