MESSAGE

理事長メッセージ

はじめに

おそらくこの人生に、二度はないでしょう。

何か人生に意味を持たせたい、一生懸命に生き抜きたい。

もしもあなたがそう思うなら、青年会議所という組織で誰かのために、まちのために本気で行動することを自らの使命として据え、力を尽くすことは最善の選択となりうるかもしれません。

ここでは経済活動や社会福祉活動を通じてそれぞれに異なる地位、職種、価値観、経験をもつ多くの仲間と共に磨き合い、高め合い、その過程で得た利益や成長といった果実を自身のものとするだけでなく、人や地域に還元し、好循環を生み出すことができます。

偽りなく、まさしく言葉の通り、

「自身の成長を自らに留めることなく、まちの発展に活かすことができる。」

このような稀有な組織を私は青年会議所を置いて他に知りません。

70年を経ても変わらない青年の使命

「われわれ実業に携はる青年が、理解ある提携と相互の協力のもとに、団結し、或は意見を発表し、懇談を交え、討議を行いそれぞれの公正な与論を形成すると共に、共通目的のためにその総力を合せて実現を期し、共々に経済の発展と社会福祉に寄与しようとするのが青年会議所設立の根本とするところである。今般我が新潟市に於て、同志相集い、あらゆる青年実業人を結集し、建設的態度を以ってこれが運営発展を図らんとする。」(一部略)

(1954年 新潟青年会議所設立趣意書より)

1954年10月4日、新潟青年会議所はこれらの言葉を以って新潟のまちに産声をあげました。ここに並ぶそれぞれの言葉が示す意味や価値は設立からおよそ70年の時を経た今も、その根幹は変わりません。

時代の在り方は変われども、経済発展と社会福祉のためにひたすらに努力する青年の使命はゆるがない、ゆるぎない。それが8年間の青年会議所での経験から私が導いた一つの結論です。

青年の視座で社会課題を抽出し、公正な手続きのもとに侃侃諤諤(かんかんがくがく)とした議論の中で智慧(ちえ)を出し合い、最善の解決策を導きまちの未来をつくる。その一連の過程の中で青年は自らを磨き、志を同じくする同志と共に成長を遂げ、いつの間にか誰かのため、まちのため、そして未だ見ぬ世代のために行動できるようになる。

70年もの永きに渡り時代の変化に飲み込まれることなく、むしろ社会をよりよく変えるための潮流を生み出し続けてきた軌跡にこそ、新潟青年会議所の価値を見いだすことができるはずです。

幸福の解釈や尺度はそれぞれに違えども、われわれが愛する新潟は豊かな自然を湛(たた)え、にぎやかなまちの中には人の営みがあり、誰しもが「幸せ」を享受できるだけの成熟した地域社会を形成しているはずです。

今、僅かでも幸せを感じている、あるいは誰かと幸せを分かち合いたい、そう考えるあなたと共にまちの未来をつくりたい。私は心の底からそのように思います。

幸せに今日を生きること。

幸せな明日をつくること。

その積み重ねが、10年後、20年後、30年後の新潟のまちの未来に繋がります。

そのことの意味を考え理解したとき、自らのこれからの生き方が、そして、青年としての使命がきっと見えてくるはずです。

2024年、設立から70年を迎える新潟青年会議所は「経済の発展と社会福祉に寄与する」という創始の理念に立ち返り、あなたと共に新潟の発展のために、未だ見ぬ次の世代の幸福のために、力強く歩みを進めて参ります。

積み重ねた歴史が示す未来

この組織の永く尊い歩みを見つめたとき、現役会員には改めて思い出し胸に刻んでもらいたい、そして、これから青年会議所に入会し、あらゆることに挑戦する青年の皆さんに是非とも知っていただきたい言葉があります。

「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」
(1949年 日本で最初に設立された青年会議所 東京青年会議所 設立趣意書より)

終戦から79年。我が国は、そして、新潟のまちは戦後の壊滅的状況から驚異的ともいえる急速な復興期を経て、今日の日本経済の礎となる高度経済成長を遂げました。経済的・文化的発展、社会インフラの整備・拡充等を次々と現実のものとし、数々の国難と地域の危機を乗り越えながらも世界をリードする経済大国としての地位を確立してきた歴史には、どの時代にも必ず国やまちを想う青年の弛まぬ努力と行動があったはずです。

新潟青年会議所の過去の歴史を遡れば明らかな通り、目まぐるしく変わる社会情勢にあって、その時々の課題に正対し果敢に挑み、最適解を模索しながら新潟の発展に資するべく、先達たちは数限りない輝かしい功績を打ち立ててきました。

これまでに刻まれた歴史の重みに怯(ひる)むことなく、青年らしい視座で新たな価値を生み出し続けてゆくこと、継承と創造によって変化を恐れない組織へと絶えず進化し続け、未だ見ぬ次世代へと未来を繋いでいくことこそ、今を生きる私たち青年の使命です。

事実、設立から今日に至るまでに、先達が想い描いた未来は夢でもなく現実のものとなり、僅か数年前までに想像していた、そして追いかけてきた理想の社会像でさえ、今や既に追いつき、当時は想像しえなかった社会課題が次々と顕在化しています。

社会が絶えず変容する以上、私たちには立ち止まっている暇(いとま)はありません。思考し、行動し、価値を生み出し続ける人財こそが未来をつくるのです。

人財が集い磨き合う学び舎として

新潟青年会議所は、毎年多くの新たな仲間を迎え入れることにより日本全国を見渡しても屈指の会員数を誇っており、年次を追うごとに純増傾向にあります。あらゆる社会人がビジネスの機会や社会福祉への参画機会を求めて集う中で、日々の実務や人間関係の中では養えない、磨きにくい「人間力」をいつの間にか手に入れることができる「学び舎」としての機能こそ、青年会議所の価値を示す代表的な要素の一つです。

ここでは、多感でいて力に漲(みなぎ)った40歳までの青年が利害関係に因らず「社会をより良くする」という会員に共通の普遍的な目的を通じて、それぞれに異なる個性や能力をもつ多くの仲間と共に磨き合い、単純にビジネス機会の創出や異業種交流といった言葉で括ることのできない特別な経験を通じて生涯の友人やパートナーを得ることができます。何より、例外なく全ての会員に公正な手続きと平等な議論の機会があるからこそ、地位や職種、能力を超えた「人となり」や「合意形成力」が試されると共に、運動に参画する中で自らの内面をさらし、仲間をつくり、その輪を広げることで自身の可能性を伸ばすことができます。

人の分母が増えれば増えるほど、すそ野は広がり組織の多様性は確保されますが、一方で「量の増大と質の担保」の議論が度々起こるのも事実です。人を育て、人格を養うのもまた青年会議所が社会に託された使命であり、組織の運動の効果の最大化とは則ち、一人でも多くのリーダーを生み出し、結果として組織全体を磨くことでもあります。

つまり、議論すべきは分母が増えることの弊害ではなく、絶えず会員が成長を遂げながらも入れ替わり、新たな仲間を迎え入れ代謝し続ける組織の中で、地域に必要な人財を育むための学び舎としての在り方にあります。

組織の存続のためだけに人を求めていては、おそらく、新潟青年会議所は70年もの歴史を刻むことはできなかったでしょう。まちのために青年が集い、先ず人があって次いで組織があるという前提のもと、今、当たり前にあるこの愛すべき学び舎そのものが地域に必要とされ続ける以上、人を迎え入れ、育てることで組織のプレゼンスは高まり続け、新潟青年会議所は自ずと地域の未来を切り拓く原動力として輝き続けるはずです。

次世代のために我々ができること

次世代のためにまちの未来を描くこととは、即ち、我々が生きる時間軸の中で現在自らの身に起きていることにのみに目を向けるのではなく、後に起きうることを先に考え予測し、不確実性にこそ目を向け、まちの未来をつくることとも換言できます。

「静かな有事」とも評されるコロナ禍による全国的な出生率の著しい減少は新潟においても例外ではなく、最新の統計によると2022年の新潟県の特殊出生率(2023年発表)は過去最低の水準にあり、もはや先送りできない社会課題といえます。今の我々の選択や判断が、未来を生きる子ども世代の人生や社会の基本的構造に直接的な影響を及ぼすと考えるとき、この危機的状況に対する最善の施策を戦略的に策定することは、所謂、人口問題全般に対する閉塞感や不確実性を局所的にも解消することに繋がります。

昨今、多様性やダイバーシティといった概念が注目される中で、誰しもが一層、自らの意思で自由な生き方を選択できる時代となりました。当然、結婚、出産、育児に対する考え方や価値観は男女を問わず個々に様々ですが、子育て世代が多く集まる青年会議所こそ、「子どもを産み育てたい」と思える社会の姿を具体的に描き、あらゆる可能性に懸け実効性のある施策を策定できるはずです。

未来を生きる者に何を託せるのか

新潟に限らず、生産人口の減少、若者の都市部への流出といった地方都市に共通の課題は、常に地域の持続可能性を語るとき重大な課題として取り上げられ、その解決策についても様々に議論されています。全国の多くの自治体では、このような諸問題を解決する制度を独自に策定していますが、その施策の数々は統計的データや定量的な指標に基づいたまちの総合政策の一環としての手法に留まるケースもあり、必ずしも未来を生きる世代の視点や意思、現場の声が正確に反映されているとは限りません。

まちのビジョンを定め未来をつくる枠組みを生み出すのは私たち青年の使命ですが、一方で我々が現状において想像し思い描く未来を生きるのは、まさに今の子ども世代であり、彼ら、彼女らがどのように生き、どのように社会と関わり、この地域で持続的に住み暮らしてゆくのか、その具体的な形を導くのものまた重要な役割です。

永きに渡り郷土を想い、地域に寄り添いながらまちの未来をつくる運動を展開してきた新潟青年会議所こそ、次の世代のために何を託せるのか、何を託すべきなのか、若者の心が離れない地域の在り方を示せるはずです。若者が真に留まりたい、あるいは戻りたい故郷の姿を描き、郷土を想う人財を育てることで、そう遠くない将来、新潟の魅力を語り合い共に地域をつくる仲間が増えることに繋がります

世界の中のNIIGATAを鮮明に描く

新潟青年会議所は2017年より、JCI(Junior Chamber International:国際青年会議所)が主催の国際会議である、JCI ASPAC(アジア太平洋エリア会議)の新潟開催を目指して、行政、市民の皆さんをはじめ、数多くのステークホルダーのご理解とご協力のもと、2026 JCI ASPAC新潟大会の誘致に尽力してきました。新潟での大会開催が現実のものとなれば、アジア太平洋エリアはもとより、世界中、日本中から1万人規模の来訪者が新潟を訪れ、交通、宿泊・観光、飲食、商品・サービス、各種施設利用等の需要増による経済波及効果は計り知れません。何より、多くの経済人、文化人、行政関係者、民間企業、その他ありとあらゆる人々が新潟を知り、関わりをもち、青年会議所という組織を超えて経済的・文化的交流を図ることは中長期的な目で見ても新潟のまちの国際化に必ずや繋がります。

政令指定都市である新潟は従来から大規模会議を開催するための複合一体型国際コンベンション施設を有し、陸路、空路、航路等の交通インフラは拡充されているものの、それらを充分に利活用し、国際都市としての機能、能力を最大限に発揮できていない側面があるのもまた事実です。2024年度以降、2026 JCI ASPAC新潟大会開催の実行計画を本格的に策定し、大会成功に向けた具体的なアクションを起こしていく中で、まちが有する潜在的な国際都市としてのポテンシャルを掘り起こし、新潟の魅力を国内外に効果的に発信し、国際都市NIIGATAの未来像を鮮明に描きましょう。

共通の理念を持った青年が集う場として

青年会議所では単年度制を採用しており、事業年度ごとに組織の中で自らの役職や取り巻く環境が変わるというある種の不連続の連続の中で、それぞれの年度において得られる学びや成長の機会があります。その中身はまさに年度によって様々であり、年度ごとに人が入れ替わり代謝を続けるという組織構造の中で、毎年、異なる組織の在り方やリーダーシップ論を学ぶことができます。

一方で、青年会議所には経済活動や社会福祉活動を通じて仲間を増やし、社会を変革に導くという役割の他に、多様な青年が集い個性がぶつかり合いながらも、皆が共通の理念を有しながら磨き合うプラットフォームとしての側面もあります。より良い社会の実現のために行動したいと願う能動的な青年のために、誰がいつ入会をしても一定の質が確保された均質な教育を受けることができる所謂、指導要領(カリキュラムやプログラム)があることで、互いにコミュニケーションが図られ、単なるビジネスサロンの域に留まらない、社会のために役立つ人財を育む場という青年会議所独自の組織風土が築かれています。そこで磨かれた人財が新たなチームをつくり、職場や家庭といった自らの畑に帰り、成長と学びの種を蒔くことで次の果実が生まれ、組織の内外に好循環が生まれます。

また、青年会議所の運動の本質や意義のみならず、会員同士の個性や価値観についても相互に理解することで、会員の帰属意識はより強まり、組織はもとより共に運動に参画する同志に対しても愛着を持つことができるはずです。

社会に自ずと広まる対外コミュニケーションの在り方

新潟青年会議所は地域のニーズを抽出し、その時々の社会課題に正対し、それらを解決するための施策を青年の視座で思案しながら運動を展開しており、様々なステークホルダーからの評価、つまり、「地域のために力を尽くす青年が集まるよき団体」としてのイメージは着実に形成されつつあります。一方で、ファンづくりの視点に立った時、我々が有する人的資源や組織そのものの魅力、地域への貢献実績といった様々な要素について、果たして対外的に正しく伝わっているのかという疑問が沸くのも事実です。

青年会議所はその成り立ちからして営利を目的とした団体ではありません。つまり、一定の広告費用をかけたから特定のモノやサービスが売れた、これだけの売り上げを立てるにはこの戦略を採用しなければならない、といった一般的なマーケティングやブランディングの概念に当て込むことは、そもそも組織の存在意義に照らしても有効ではありません。

広める視点、つまり、発信することを前提とするのではなく、より踏み込んで日々当たり前に展開している運動、実施している事業が社会的なニュースになりうることを自覚し、世の中に自ずと広まる可能性に着目することで、すべての運動が新潟のまちに顕在化し、組織の価値が上がるはずです。

有機的な繋がりを構築して地域益に還元する

新潟青年会議所の会員の活動範囲は新潟を超えてJCI(国際青年会議所)、JCI日本(JCI日本直轄の各協議会を含む)への出向者輩出により、益々、広まりを見せています。毎年、数多くの出向者が多様なステージで自らの成長のため、そして、その成長の過程で得た学びを新潟に持ち帰るために果敢に挑戦し、組織の内外において素晴らしい出会いや経験を得ています。

より広い視野で青年会議所を見つめたとき、世界中の国や地域に170,000人以上の会員数を数え、日本国内においても678のまちにおよそ30,000人規模の会員数を誇る他に類を見ない青年団体であり、現役会員に加え約2,500,000人以上ものOB・OGが青年会議所で得た経験やネットワークを駆使し、経済界、政界をはじめ実に様々な分野で活躍しています。このように日本全国、世界規模での活躍を前提とした出向という機会を通じて、出身地や価値観が異なる他の会員との合意形成の過程の中で信頼が生まれ、その先にビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

ひいては、出向先での強烈な原体験の積み重ねやリーダーシップ論の習得、他の青年会議所との有機的な繋がりの構築によって得られた成長を自身に留めることなく組織に還元することで、組織も地域も発展していきます。個々の出向者の学びを最大化すると共に、それを支援する体制を強化することで個の成長と組織の成長の両輪が機能し、内外に波及することでその先に生まれる地域益を見据えることができます。

ルールの順守が組織のプレゼンスを高める

青年会議所の魅力の一つにも例えられる「厳格な組織」としての性格は、財政規則と各種コンプライアンスの順守によってこれまで守られてきました。

時代の流れの中で組織のガバナンスの形は変化を遂げるものの、我々青年会議所の会員の所謂プロトコルたる「決め事」は、ただそこに存在するだけでは何らの意味も持たず、それぞれの会員がプロトコルそのものを行動規範の中心に据え、明文化された中身の一つひとつを理解し、行動や言動で体現することで初めてその価値が認められます。この決め事の在り方が適正であるか、あるいは、新たな要素を付加できないかを積極的に議論することでルール自体が磨かれ、ルールを運用する組織そのものも磨かれるはずです。

また、会費収入が運営の主たる原資である青年会議所においては、健全で強固な財務基盤の確立には厳格な審査が必須であり、各支出に合理性が認められるか、運動の効果を最大限に高めるものであるか、画一的な基準に当てはめて検討することが重要です。何より、会員の成長、入会者の増加、組織の信用向上といった支出に見合うだけのリターンがどのような形で発生し、組織を超えて市民、地域にどのような形で好循環をもたらすのか、公正で冷静な判断を要します。

さらに、今後、新潟青年会議所がより効果の高い事業、費用対効果の高い運動を継続して生み出していくことに主眼においたとき、外部パートナーや事業賛同者からの資金の調達や、公的助成金・補助金の積極申請は極めて有用な手法であり、組織の持続可能性を支える根幹ともなる戦略といえます。

組織が有する限られた資源の中で堅実且つ実効性の高い各種計画の立案には、財政規則の順守とコンプライアンスの強化、そして、それらをより効率的に実現していくための実務上の改革が次代の組織のあるべき姿に直結するはずです。

厳格でいて効率的な組織運営

多くの青年会議所では意思決定の過程において「少数の声」、「多様な意見」を尊重するロバート議事法を採用し、民主主義のもとに議論を行うことで社会の課題を抽出し、それらの解決策を策定し、実行と検証を繰り返しながら運動を展開しています。新潟青年会議所においても従来から議会制民主主義の様式に準じた決議、会議形式を取り入れることで、円滑な議事の進行が実現すると共に組織の厳格な性格が形成されてきました。

昨今、コロナ禍によりWeb環境を介したコミュニケーションは民間企業・官公庁をはじめ、あらゆる分野において普及しており、青年会議所においても遠隔地からの会議参加は有効な参画手段として採用され、利便性や効率の面で利点が認められるのは間違いありません。

一方で、組織の結束強化やガバナンスの維持といった点に着目したとき、人と人とが実際に対面し、双方が直接的なやりとりを行いながら会議を行うことの意義についても度々議論にあがっています。事実、現地出席することに価値を置いた古き良き時代の青年会議所像への回帰や、青年会議所に特有の厳格な組織風土の再形成の議論を興す声も少なからず聞こえてきており、組織の性格をどのように導いていくのか中長期的な視点で方向性を定める必要があります。

新潟青年会議所は70年の歴史を刻みながら、時宜(じぎ)に応じて運動の効果を最大化するために柔軟に変化を遂げてきました。会議そのものの運用手法の再考察はもとより、疑いもなく当たり前に維持している慣習や、積極的に要不要を議論すべき良きも悪しきも固定化された前例主義について見直すこともまた、組織の持続可能性の担保に繋がります。

あまりにも移り変わりの速い現代社会において、単年度制という特別な組織の仕組みを強みとして捉え、採用、修正、検証、廃止、再採用といったサイクルの回転が比較的容易である特性を利用して、真に生産性を向上させることで地域の課題を解決するための最短ルートを辿りましょう。

むすびに

あなたがいるから、今日の私がある。

今日に至るまで、青年会議所の運動に参画する中で、そんなことを思う瞬間が幾度もありました。

ここで出会った人々から授かった学びや、身の丈に合わないと思いながらも覚悟を以って挑戦し、図らずも身の丈を超えてきた数多の経験が今日の私を形成しています。

青年会議所では、経済活動や社会福祉活動を通じて、成功も失敗も経験することができます。

但し、その成功も失敗も、何かに挑戦した先にある結果を表わしたものにしか過ぎません。

あなたの決断が、挑戦が、どのような結果を導いたとしても、その一つひとつが自らの成長の材料となり、ときにあなた以外の誰かを幸せにするための糧となります。

人の幸せを願い、行動する者だけが真に自らの幸福を実現できる。

自らが幸福であると思えるあなたこそ、誰かのために行動できる。

一度きりの人生において、身を立て、名を馳せ、何かを成したいと願ったとき、まちを、地域をより良くする好循環の中に自分の姿があることを想像できるのなら、今すぐに決断し、行動しよう。

青年会議所はあなたの運命を変え、まちの未来を変えるために存在します。

自らの果実を自身のものとするだけではなく、人や地域に還元し、好循環を生む人財へと成長した先に、あなただけのものではない真の幸福があるはずです。

粗削りであっても、我々青年のまっすぐな想いが、人を、まちを動かす潮流をつくる。

誰かのために、まちのために、力を尽くそう。

10年後、20年後、そして、30年後の未だ見ぬ世代のために。

共に、次の時代をつくろう。

理事長 松原 直章