ホーム > 事業案内 > 広域的災害ネットワークの構築~日本海国土軸形成が国土を強靭化する~
はじめに
我が国の国土開発は首都「東京」を中心になされ、いわゆる「バブルの崩壊」により、公共工事にかける予算は縮減され、採算性の低いインフラ計画は遅々として進まず、近年に至っては「一極一軸型国土構造」が一層強化されました。
しかし、未曾有の大規模自然災害「東日本大震災」は想定を遙かに超えた被害をもたらし、我が国の脆弱性が露呈し、これを契機に防災・減災の観点でインフラ整備の重要性が再認識されました。災害大国といわれる我が国において「防災・減災」は必要不可欠であり、「多軸型国土構造」に転換し、国土全体を強靭化しなければなりません。2013年5月15日、「日本海国土軸」の根幹となる日本海東北自動車道の全線の事業化がなされましたが、ミッシングリンク*1)が存在しており、未だ道半ばです。本書では、現在の「一極一軸型国土構造」の問題を提起し、「日本海国土軸」の現状とその必要性について報告します。そして、その中における新潟のポジションについて言及します。
*1)ミッシングリンク:ここでは「分断された鉄道や(高速)道路」のこと。
一般社団法人新潟青年会議所
2014年度 災害ネットワーク構築委員会
2014年度 災害ネットワーク構築委員会
第1章 東日本大震災
2011年3月11日に発生した東日本大震災。この未曽有の大規模自然災害は激震と巨大津波により、太平洋沿岸地域に壊滅的な被害を与え、死者・行方不明者が約1万8千人を超える恐ろしいものであった。
震災発生直後、日本各地からの支援、救援活動が被災地に向けて開始された。ここでは当時の状況を振り返ってみる。
被災地周辺の交通網の状況としては主要高速道路が寸断され(図1)そのほとんどが通行止めとなった。
例えば、救援のために都心から被災地仙台まで向かう場合、東京駅から仙台駅までの所要時間を調べてみると下記の表のようになる。(表1)
[ 表1]東京駅から仙台駅までの車での所要時間 ※平均速度を通常時85km/h、災害時30km/hと設定
通常時でも2時間40分ほどの差があるところ、震災直後の混乱した状況下で渋滞時平均速度時速30km/hと考えると約7時間40分ものタイムロスとなる。このように、被災地までの道のりが遠のいたことにより、救援や復旧などの災害対策の初動が遅れる結果となった。
被災地へ向かう道路が寸断されたことにより、周辺地域からの支援も十分に行えず、被災各地では水・食料等の救援物資が行き渡らず、また、東北地方6県の灯油やガソリンなど石油製品消費の50%を賄っていたJX日鉱日石エネルギー仙台製油所が被災し操業停止となり、化石燃料が供給できないという深刻なエネルギー不足となった。大規模自然災害が、東北への「命の道」を寸断した。
震災発生直後、日本各地からの支援、救援活動が被災地に向けて開始された。ここでは当時の状況を振り返ってみる。
被災地周辺の交通網の状況としては主要高速道路が寸断され(図1)そのほとんどが通行止めとなった。
例えば、救援のために都心から被災地仙台まで向かう場合、東京駅から仙台駅までの所要時間を調べてみると下記の表のようになる。(表1)
東北自動車道ルート | 関越・北陸・磐越 自動車道ルート |
2ルートの差 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
距離 | 369km | 599km | 230km | |||
所要時間 | 通 常 時 | 災 害 時 | 通 常 時 | 災 害 時 | 通 常 時 | 災 害 時 |
4時間20分 | 12時間18分 | 7時間 | 19時間57分 | 2時間42分 | 7時間39分 |
被災地へ向かう道路が寸断されたことにより、周辺地域からの支援も十分に行えず、被災各地では水・食料等の救援物資が行き渡らず、また、東北地方6県の灯油やガソリンなど石油製品消費の50%を賄っていたJX日鉱日石エネルギー仙台製油所が被災し操業停止となり、化石燃料が供給できないという深刻なエネルギー不足となった。大規模自然災害が、東北への「命の道」を寸断した。
[ 図1 ]震災当時の主要道路の主な災害状況
警察庁「東日本大震災に伴う交通規制」
(https://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/traffic/koutu_
kisei/koutsukisei.pdf)(参照2014年8月1日)をもとに作成
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